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スポーツ人間工学が導き出した、ペダルとシューズの正しい位置を知る

2回にわたって総合的な視点からの話が続きました。今回は身体のパーツからアプローチします。サイクリストと自転車の3つの接点、ペダル、サドル、ハンドルのうち、ペダルについて考えてみましょう。

効率的なペダリングを支えるクリートの位置

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idmatchでは足のバランスポイントという表現を使っていますが、正しいクリートの取付け位置について、どのように考えていますか?

ルカ
バランスポイントを説明するのに最適なのが、水泳の板飛び込み競技です。完璧にバランスをとった状態で静止し、この直後に選手はジャンプします。この静止時の足の重心がバランスポイントなのです。

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1回目でも説明しましたが、筋肉・関節の動きは競技種目に関係なく、共通しています。ただし、それぞれのスポーツで身体の使い方は異なり、発現する結果も変わってきます。

写真の選手の足はエネルギー消費が少なく、最高の安定性を確保しながら、いつでもパワーを発揮できるポイントに重心があります。バランスポイントは、第1中足骨の先頭から少し後ろ、5つの中足骨の先端が作る弧の中央部分。ここにペダル軸に合わせれば、もっともスムーズなペダリングができるのです。

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このポイントは、足長、第1中足骨先端からかかとまでの長さ、足幅の3つの数値から求めることができます。idmatchクリートフィットシステムでは、それを専用のアルゴリズムで計算し、シューズに正確にクリートを取り付けます。

バランスポイントより前でペダルを踏むと、足首の角度を維持するために腓腹筋に不必要な負荷がかかります。バランスポイントより後方で踏むと消費エネルギーは減りますが、スムーズなペダリングができなくなる。

バイクポジションの3つのパラメーター

ルカ
快適性が低く、つらいポジションは平均速度を下げます。次はパフォーマンスです。レースに勝つにはペダルを速く踏まないといけません。快適性とパフォーマンスの重要度は、サイクリングの種類で異なります。

3つ目は、物理法則に逆らわないことです。身体の使い方を工夫することで解決する問題もあります。しかし、クリート位置は純粋に物理的な解決方法しかないのです。身体の使い方の問題ではありません。

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ほかのフィッティングサービスの中には、高い椅子に坐って足の向きをチェックして、クリートの角度に反映させることがあります。あの行程がidmatch にはありませんよね?

ルカ
あれは完全に間違っています。
たとえばサッカー選手の中には、足を回外(足が外側に倒れる)させるクセがついている人がいます。筋肉をそのように使いつづけた結果です。その人もペダリング時には足がニュートラルになることがあります。

負荷がかかっていない状態の足の角度は、ペダリングに関係ありません。ペダリング時の動きだけが大切です。この分析には、体重をかけた状態でテストを行ない、足から脚のつながりになにが起きるかを調べます。これが効率的なペダリングと障害を防ぐことにつながります。idmatchではティルトメーターを使います。

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ティルトメーターではなにを調べるのですか?

ルカ
身体を考える時に2つのアプローチがあります。1つは足の構造を解剖学的に、もう一つは足の機能から考えます。足の回内(足が土踏まず側に倒れる)、回外という現象は複雑です。

足の前部を観察すると回内したり、水平になっていたり、回外しています。
かかとの縦の軸も外側や内側に傾いたり、垂直になっていたりします。

ここから先は、ペダリング特有の現象があらわれます。歩いているときと自転車に乗っているときでは足や脚で起きる現象が違います。靴をはいて歩くとき、かかとが最初に接地して足裏を通り、足先で地面から離れます。歩行時の解析は自転車では使えません。自転車では足の前部------バランスポイントでペダルを踏むだけです。ここが最大の違いです。

かかと前方にはショパール(横足根)関節というものがあります。その関節で足の前部と後部がそれぞれ別に傾いている場合があり、足前部は回内しているのに、かかとは水平な場合があります。足を前後に分け、それぞれに水平、回内、回外があるので、3x3で9つのパターンが生まれます。

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ショパールというラインが関節なら、そこで調整してくれないんですか?

ルカ
足がリラックスした状態なら、この関節は自由に動きます。でこぼこの自然道を歩いているとき、足は路面の形に合わせて関節が動きます。地面をとらえた足の筋肉が収縮するとこの関節は固まり、前に踏み出すことが可能になるのです。ペダルを踏む時も歩行時と同じく、この関節を固めます。ただし、足の前部はペダリング時にかならずフラットになりますね。水平に固定されたペダルを踏みつける訳ですから。

想像してみて下さい。

足前部が回外し、かかとが水平だとします。ということは、ショパールラインを境に足の前後にねじれています。ペダリング時、足前部はかならず水平になるので、影響を受けたかかとは回内します。いわゆるX脚状態になります。同時に、脚部が内側に回転します。そのためにクリート角度の調整が必要になるのです。足・脚の自然な動きの邪魔をせず、痛みや障害の発生を防ぐためなのです。

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脛骨(すねの骨)とかかとをつなぐ関節は、指の関節とは違い、複雑な動きをします。ペダリングしている時、足が内側に傾くと、交差する脛骨は内側に回転するのが自然な動きです。つまり足だけでなく、脚でなにが起こるかも分析すべきなのです。これらの動きを的確に理解して問題を解消することはペダリングの効率を上げ、障害を防ぐことにつながります。

足の回内や回外というのは、3つの軸で考えるべき現象です。足前部が内傾し、かかとが水平な人は、ペダリングによる影響でかかとが外に傾いてがに股でペダリングします。

サッカー選手のように足が全体に外傾している人がペダリングすると、足全体はニュートラルに修正されます。その場合はクリートの角度を調整する必要はありません。

この分析には、体重をかけた状態で足から脚のつながりになにが起きるかを調べる必要があります。それに応じて、クリートに角度を付ける。これがペダリングによる足と脚の自然な動き=回転を尊重することになるのです。

それを行なうのがティルトメーターです。ここまで説明したことは原因の一部を説明したにすぎませんが、実際には足前部でペダルを踏みつけたときのヒザの動きで、判定することができるのです。

ペダリング時の足と脚の動きの一部に触れました。その結果となるクリート設定について説明しました。クリートのシューズへの正確な取り付けについては、別の機会にお話ししましょう。

次はサドルです。
(つづく)


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ポディウム公式アカウントです。ヨーロッパのロードバイクシーンがナニを考え、どのように問題に取り組んでいるのか……をお伝えします。http://www.podium.co.jp/

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