見出し画像

Q&Aで基礎から学ぶ、ホイール選びの正解

知っているつもりで、実は分かっていないこと。誤解されているホイールの基礎知識について、プロチーム御用達のVisonホイールの開発者が質問に答えます。

Q1:"初心者用ホイール "とは安いホイールの総称ですか? それとも、
初心者に適した性能があるのでしょうか?

A:いい質問ですね。初心者用やレクリエーション用に分類されるホイールはコストが低く、部品の性能も相応のホイールのことを指します。

ライディングスキルやコスト面を考慮し、リムのハイトの低いホイールやコストが抑えられているホイールを初心者用として分類する傾向にあります。したがって、初心者用に特化した性能を持つホイールの総称とは言えません。

Q2:初心者がホイールの買い替えを検討すべき時期はありますか?

A:経験値がが次のライディング・レベルに到達した、機材でジャンプしたいと思ったときは、ホイールのアップグレードを考える最適なタイミングです。ホイールはハンドリング、加速、エアロダイナミクスなど走行感に大きな影響を及ぼしますので、走行性能を次のステップに進化させる魅力的なアップグレードオプションとなるからです。

Q3:ホイールの価格差は、どのような違いが理由なのですか?

A:もっとも分かりやすい両者の違いはリムの素材です。高価なモデルはカーボンリム、手頃な価格のモデルはアルミリムが採用されています。

リムは素材によって、重量が大きく変わります。カーボンはアルミと比べて、軽量で強度、剛性に優れています。コストは高くなりますが、軽さを活かして加速性能に優れたホイールにしたり、リム高を高くして空気抵抗の小さなホイールを作ることができます。

他にもハブの品質、スポークの材質や構造、リム高の違いがあります。
また、高性能ホイールは洗練された性能を求められるため、高価な部品が使用され、研究開発プロセスにも大きな投資が必要となります。

Q4:新興ブランドと、Visonのようなホイールメーカーとの違いは?

A:簡単に言えば、違いは開発コストとパフォーマンスです。新興ブランドの多くは安価なことを武器にしています。そのカラクリは金型に投資がほとんど必要ない「オープンモールド」と呼ばれるリムやハブを利用しているからです。そのためオリジナリティーのない製品になってしまいます。

私たちはオリジナルのリム、ハブ、スポークを研究開発しています。パーツを設計するにはリサーチ、競合分析、デザイン、CFD、風洞テスト、プロトタイプの製作といった多くの工程が必要で、大きなコストがかかります。

ワールドツアー・チームとコラボレーションも、新規ブランドにとって敷居が高いでしょう。選手たちのフィードバックには重要な価値があり、それに基づいてラボでテストします。インプレッションをどのように解釈するかによって試験内容も変わるので、これにも経験が求められます。

このようなプロセスにより、常に最先端の性能を維持できるだけでなく、ワールドツアーで使用されるものと同じ高品質の製品を消費者に提供することができるのです。

Q5:プロ選手は未だにチューブラータイヤを使っているのですか?

A:いいえ。以前はそうでしたが、チューブレスの技術が向上するにつれて、プロのロードチームもチューブレステクノロジーを使うようになっています。その理由は、耐パンク性/信頼性の向上、転がり抵抗の低減/内部摩擦の低減(チューブがない)、タイヤ全体の性能向上などです。

Q6:今でもチューブラーホイールの購入する理由はありますか?

A: いいえ。チューブレスの方が、非競技ライダーにとって信頼性が高く、メンテナンスも簡単で、耐パンク性にも優れています。

Q7:ホイールの空気抵抗を考える時、スポーク本数、ホイールの回転数、リムの高さを考慮すべきですが、重要性や序列、その比率について教えて下さい?

A:気象条件をはじめとして、多くの変数が含まれるので、その比率を示すのは難しいです。ただ、概ね以下の順番で空気抵抗が変わってきます。

1. リム
2. スポークとスポーク数
3. ハブ

リム形状は最も影響力が大きく、タイヤと共に空気を切り裂いていく一部であるため、空力の主要な要素となります。スポークは本数だけでなく、形状も重要な要素です。

ハブはホイールの心臓部です。転がり抵抗はもちろん、スポークの編み方によって反応速度や剛性も変わります。したがって加速性や制動性にも違いを生みます。ただし、エアロダイナミクスにおいて重要な役割を果たすことは少ないと言えます。

Q8:タイヤ幅によっても空気の抵抗値は違います。リムとタイヤの組み合わせについて語れることがあれば教えて下さい。

A:確かに、タイヤはホイールの空気抵抗を考える上で大きな役割を果たします。トレッド形状を工夫して誘導境界層(ゴルフボールのディンプルを想像してください)を作り、気流がホイールの近くにとどまるタイヤもあります。一方で低風域では結果が良くても、横風が吹いてくると急にパフォーマンスが低下してしまう製品もあります。

タイヤ幅は数年前と比べてワイドな製品が主流となり、トレンドに沿ってMetron 45/60/91ホイールを開発しました。ボリュームのあるタイヤで優れたパフォーマンスを発揮できます。しかし、タイヤ幅が太くなると、ホイールに関係なく、通常1~2Wほど空気抵抗は増加します。

とはいえ、Metron 45/ 60/ 91は28㎜幅のタイヤを履いても、23~25mmのタイヤを履いた過去のMetron 40/55/81と同じか、それ以上のパフォーマンスを発揮します。そして、ライダーにとっては快適性が高く、空気抵抗を低減できるホイールになりました。

Q9:ワイドリム&タイヤのメリットをホイール側から教えてください。

A:タイヤは太くなると容積が大きくなり、接地面積が増えます。またグリップ力が向上し、必要なタイヤ空気圧は低く、スムーズな乗り心地となります。さらに転がり抵抗は少なく、コントロール性も向上します。このパフォーマンスの向上はホイールにとっても歓迎すべきことです。

Q&Aについては、シリーズ化していきたいと考えています。記事を読んだらいいね&シェアをしてくれたらとてもうれしいです。