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新たなコラボレーションで進化した次世代サイロン

サイロンは独自のスピリット、スタイルとフィールをもつレーシングバイクです。その魅力の継承と新しい技術革新の投入が新型には求められます。コロナ禍とそれに伴う困難な時期に、私たちは新型サイロン(仮称)の魅力を強化すべく戦略的なパートナーシップを結びました。

年間研究費総額約34億ユーロの研究機関との出会い

欧州最大の科学技術分野における応用研究機関であるフラウンホーファー研究機構は、ミュンヘンで1949年に創設。現在はドイツ各地に76の研究所を構え、およそ32,000名のスタッフを抱える巨大組織です。

  • 健康・医療技術

  • エネルギー・環境技術

  • 通信・情報技術

  • 自動車・モビリティ技術

  • 航空・海洋技術

といった分野で秀でた結果を残し、カーボンの編込み技術とRTM(樹脂トランスファー成形)技術を、ドイツの航空宇宙産業や自動車産業に広めた立役者です。RTM製造に関する彼らの協力は、TIMEにとって大きな転換点となりました。

進化を支える技術:革新的なレイアウト技術

フラウンホーファーの研究者たちは、スロバキアのTIME工場に頻繁に足を運び、技術指導を行いました。新しいレイアウト技術の開発やコアの改良が行われ、炭素繊維と樹脂の比率を改良。より強固で軽量な構造体を生み出しました。

構造上重要な部分には、TORAYCA M40JとM46Jという高弾性繊維が戦略的に使用され、ヘッドチューブ、ダウンチューブ、チェーンステーなどの剛性を維持すべき部分に重点的に配置されました。

待望のモデルチェンジを迎えるサイロン(2022年Model)

第2世代の編込みテクノロジー:革新的な繊維配置

新型サイロンには、第2世代の編込みテクノロジーが採用されています。
トップチューブは1つの層の中に45度から30度の角度で繊維を配置、ダウンチューブでも特性に合わせて角度を変え、各ゾーンに最適な角度の繊維を配置しています。

連続する素材としての編込みカーボン繊維

さらに、ボトムブラケットからダウンチューブ、ヘッドチューブ、トップチューブまで、フロントトライアングル全体を途切れることのないカーボンファイバーで連続させた編込みトポロジー(位相幾何学)を採用しました。

これは一般的なカーボンフレームで使われるプリプレグ(炭素繊維に予め樹脂が予備含侵された素材)を切り貼りするのではなく、一枚の素材が連続して変形し、その性質を保つことに焦点を当てた設計思想のことで、繊維特性を最大限引き出し、比類のないハンドリングとコーナリングレスポンスが実現しました。

新しい積層シーケンス

TORAYCA M40J, M46JとT800というTIME史上最も先進的で、まったく新しい積層シーケンスを採用しました。積層シーケンスは機械的特性を決定する重要な要素で、複合素材を形成する層を積み重ねる順序です。

シートチューブとチェーンステーシステムには、サイロン独特の乗り心地を決定づけたいくつかの技術があり、私たちはそれらをぜひとも残したいと考えました。

コア技術の進化と軽量化

フラウンホーファーとの協働は、カーボン繊維編込み技術の進化、コア技術の改良、表面処理の向上など、多岐にわたる技術革新をもたらしました。そして、これらの結晶がサイロンの品質と性能を飛躍的に向上させました。
コア技術の改良は、次世代の編込み技術と並び、新型サイロン(仮称)の軽量化に大きく貢献しています。

(つづく)

                                   《トニー・カークラン》