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はじめまして! ハッチンソンタイヤです

タイヤが大切だって、
みなさんも知っていますよね。
でも、どれくらいって言われたら、
ちゃんと答えられる人は少ないはず。
タイヤのこと、
ハッチンソンを、もっと知ってほしい。
それはプラネットポディウムを始める前からの課題でした。
それなのに、ハッチンソンが自信を持ってリリースした新しいフュージョン5について、しっかりと説明ができていない。
というわけで、今回はハッチンソンタイヤのエンジニアで自転車タイヤ開発部長のジョエル・バレさんに話を聞くことにしました。

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ーー
多くの日本人にとって、
ハッチンソンタイヤと言われても、
知らない人がほとんどです。
簡単に自己紹介してもらえますか。

ジョエル
簡単に言ってしまえば、
1853年に創業したゴムの専門メーカーです。
5分ほどの動画にまとめてあるので、
ぜひ、ご覧下さい。

ーー
大きくて歴史ある会社だと思っていましたが、
すごいですね。

ジョエル
私たちの会社が創業したのは1853年、
現在はTotalグループの子会社で、
従業員は3万人以上もいます。
動画には出ていませんでしたが、
日本の新幹線の部品も作っています。
なので、輸送車輌のラバースペシャリストと
言い換えてもいいかもしれません。

ーー
新幹線!

ジョエル
ええ。ダンピング機構の部品を作っています。
ただ、電車や飛行機の部品は
皆さんの目に触れることがないですよね。
だから、自転車用タイヤのように
メーカー名が皆さんの目に触れる製品は
いろんな意味で大切な製品なんです。

ーー
サイクリストにとって、
ハッチンソンと言えば、
チューブレスタイヤの印象が強いですね。

ジョエル
ありがとうございます。
チューブレスシステムは、
ご存じの通り、いち早く手掛けました。
でも、チューブレスシステムに限らず
私たちのタイヤの特徴は、
コンパウンドにあるんです。

ーー
コンパウンドって、
化合物という意味ですよね。
とても高価だったり、
珍しい材料が使われている?
それとも、混ぜている種類が多い?

ジョエル
コンパウンドに使われている素材は、
世界中で似たようなものなんです。
どの材料を、どれだけの量を使うか、
どの工程で混ぜるかが、違いなんです。
素材、
配合比率、
工程。
この3つが違いを生みます。

ーー
料理みたい。

ジョエル
ははは、似ているかもしれませんね。
でも、それが大変な仕事なんです。
モンタルジー(ハッチンソンの工場があるフランス・ロワール地方)で最高性能のタイヤを作るべく、ずっと研究し続けています。

ーー
コンパウンドって、
どうやって作られるんですか?

ジョエル
小さなミキシングマシンで、
少量のプロトタイプを作ります。
それをいろんな試験にかけ、
ひとつのパラメーターを変えると、
どのような違いが出るか調べます。

ーー
なんだか、楽しそう。

ジョエル
科学者が研究するレベルですから、
実際には複雑でむずかしい話です。
カーボン、シリカ、天然ゴム……
それらの比率をわずかに変えると、
コンパウンドの性質が大きく変わるんです。

ーー
高級タイヤと廉価モデルだと、
どれくらいのコスト差があるんですか?

ジョエル
それは企業秘密です。

――質問を変えます。
耐久性能って、どれぐらいあるんですか?

ジョエル
プロ選手が練習で使っていたタイヤで、
トレッドがなくなり、ケーシングが見える状態になったモノがありました。
ーー
すごそうですね、そこまで使うと。

ジョエル
9000㎞も走ったと言ってました。

ーー
レース用タイヤで?

ジョエル
いいえ、耐摩耗性の高いタイヤです。
それにしても、走りすぎですね。
メカニックが管理していれば、
5000㎞ぐらいで交換します。

ーー
かなりの距離を乗るんですね。

ジョエル
そうですね、練習用ですから。
しかし、距離だけで寿命は決まりません。
体重、コースによっても大きく変わります。一般論でいうならば、
3000㎞が交換の目安です。

ーー
モータースポーツと比べて、
すごく長持ちしますよね。

ジョエル
車体の軽量だし、パワーも小さいから
クルマやオートバイよりも長持ちします。

ーー
でも、最高のパフォーマンスが3000㎞も
続くわけじゃないでしょう。
トップコンディションと言えるのは、
だいたいどれくらいまでですか?

ジョエル
1000㎞です。
ただし、諸条件によって差が出ます。
あと、新品より50㎞ぐらい走った方がいい。

ーー
え、新品よりも?

ジョエル
そうです。ビードやケーシングが馴染んで、
より性能が上がります。

ーー
へぇ、面白いですね。

ジョエル
なので、50㎞〜1000㎞くらいまでが、
レーシングタイヤとしての、
いちばんおいしいところです。

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ーー
あと、自動車雑誌に
「使い始めたタイヤは、途中で休ませると性能劣化につながる」という
記事を読んだことがあるのですが、
自転車のタイヤでも言えますか?

ジョエル
データはありませんが、
理論的には同じだと思いますよ。
半年や1年間も放置するのは良くない。
使い始めたら、使い続けて下さい。
特にチューブレスレディの場合は

ーー
シーラントが入っているから……

ジョエル
そうです。
シーラントを固着させないためにも、
休ませずに使い続けてください。

――
ところで、フュージョン5の11ストームは
世界的に高い評価を受けていますけど、
新作のコンパウンドには、
どんな秘密があるんですか。

ジョエル
11ストームはコンパウンドの開発だけで
3年ほどかかりました。
分かりやすく言えば、シリカを用いています。でも、大切なのはシリカだけじゃないんです。
どのように混ぜていくか、
工程も含むすべてで特別のレシピになります。

ーー
レシピの中身はともかく、
どんな性能なんですか?

ジョエル
転がり抵抗が小さいとか、
ウエットでグリップ力が高いタイヤって、
それだけでいいなら簡単なんです。
それが、どちらもとなると
非常にむつかしい。

ーー
それを両立させたんだ。

ジョエル
その通りです。

ーー
ハッチンソンはチューブレスを
止めちゃいましたけど、
ライバルの動向をどのようにみてますか?

ジョエル
私たちが販売の継続を見送ったのは、
チューブレスレディに対する
ニーズが高かかったからです。

ーー
いろんな会社から
チューブレスレディが出てきましたが、
どう感じていますか。

ジョエル
現在、販売されているタイヤの中には、
私たちにとって過去のモノもあります。
名前はいいませんが、我々の感覚的には
15年ほど遅れているライバル製品もあります。

ーー
15年!

ジョエル
内側の層が非常に重くて、
チューブレスレディなのに、
シーラントが不要なモノもあります。
先に言っておきますが、
名前は聞かないでくださいね。

ーー
聞こうと思ったのに……
しかし、シーラントが不要なことは
悪いことですか?

ジョエル
分かりやすく言うと、私たちの古いチューブレスタイヤに非常に似ているんです。
積層の中に重くて硬い層があって、
私に言わせれば、改良したとは思えないような新製品もあります。

ーー
ハッチンソンの
チューブレスレディが
新しいのは、どんなところですか?

ジョエル
新作は軽量化、ハイグリップ、快適性の
性能を高めることを目標にしました。
それと、装着性を改善しました。

ーー
取付けが簡単になった、と。

ジョエル
そうです。
タイヤレバーなしでも装着できます。
これは大きなアドバンテージだと思いますよ。

ーー
チューブレス系は面倒なイメージがあります。

ジョエル
手でマウントできるように、
かなり多くの時間を割いて研究しました。

ーー
そもそも、なんで差が出るんですか?

ジョエル
リムの断面形状は
製品によってけっこう違いがあるんです。
そして、欧州タイヤ規格(ETRTO)に
準拠してない製品が多いんです。

ーー
それ、大問題ですよね。

ジョエル
安全性にもかかわってきますので、
かなり詳しく研究しました。
簡単にマウントできることも重要ですけど、
一番大事なのは安全性ですから。

ーー
ブランド名、言えませんか?

ジョエル
私からは控えますが、
ショップでスタッフに聞いてみてください。
数を触っている人なら、答えは知っています。

つづく

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ポディウム公式アカウントです。ヨーロッパのロードバイクシーンがナニを考え、どのように問題に取り組んでいるのか……をお伝えします。http://www.podium.co.jp/

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