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再び、FSAへ便りを出してみる

拝復

いつの間にか残暑も終わり、金木犀の甘く優しい仄(ほの)かな香りがする季節となりました。いつもであれば、新緑の中で行なわれるはずのジロ・デ・イタリアが、ハロウィンが近づいた頃に佳境を迎えているなんて、今年は本当に不思議な一年です。そして、粗野な言葉遣いの拙い文章に目を通し、返事をいただけたことも未だに不思議な感じがします。いただいたメッセージに目を通し、この僥倖に乗じて、もう少しだけK-Force WEについて感じている疑問を書き連ねてみようと思います。

コンポーネントパーツのビジネスは、巨大メーカーに独占され、開拓の余地がない市場だとわたしは思っていました。ですが、視点を変えれば大きな可能性あり、ユーザーにとっても、既存のメーカーにとっても新規参入がコンポーネントパーツの進化に役立つ可能性がある。と、あなたは書かれていました。言われてみれば、もっともな意見ですが、行動に移すには多くの課題があったことは容易に想像がつきます。

K-Force WEは2001年にスタートし、順調に成長を遂げてきたFSAの最後ピースだと言いました。最初から全てのパーツをラインナップに持つ部品メーカーなど聞いたことがないので、シリーズで機能するコンポーネントパーツは部品メーカーの最終到達地なのでしょう。そうしてみると、K-Force WEが特別な存在なのも理解が出来ます。

同時に、もっと言葉を尽くさないのか……という疑問が湧きました。FSAが新規に参入したのは、ゴールなのか、それとも始まりなのか。もし、K-Force WEが始まりだというのであれば、それはどんな理想のもとに始まったのでしょう。自転車はフレームだけでも、ほかの部品だけでも走らないので、一社だけで走行性能を作り出すことはできないですが、その分だけ多くの可能性があるとも言えます。

わたしはK-Force WEの試乗車には、2回ほど乗せてもらいました。レバーはノーマルよりも6mmほど短いコンパクトタイプで、レバーの先端まで手の中に収まってしまうほどでした。変速操作はシーソーのように変速部の両端を軽く押すだけですが、誤操作がないように質感に調整されていると感じました。

レバーの動き出しは程よい節度があり、動き出してからは軽く、突き当たるまでストローク量は短い。作動部分の質感というのは、機能性もさることながら、その製品の印象に大きく影響します。

従来システムがレバーを“押す”のに対し、K-Force WEはレバーストレークが短く、指の第1関節をわずかに動かすだけ。プッシュとタッチの違いと言ったら、少し大げさかもしれませんが、これは手の小さいライダーにはありがたいし、お客さまの何人かにも触ってみてもらいましたが、手が大きく指の長い人にも好評でした。

ブラケットの形状やフードの質感にも、長い時間をかけて開発したのが窺い知れました。ブラケットは小ぶりながら、手に馴染むような印象を受けました。試乗車にはFSA製のハンドルが取り付けられていたこともあるでしょうが、考えてみればハンドルバーも作っているコンポーネントパーツメーカーはFSAだけなのですね。してみると、ハンドルとブラケットのマッチングが自然で、手がブラケットに置きやすいのも予定通りと言ったところでしょうか。

前回のメールでも触れましたが、ハイブリッド方式のワイヤリングを採用した理由は分からないままです。コントロールレバーとフロントディレイラーの間を無線にできたのなら、リアディレイラーも無線にすることは容易かったはずです。しかし、それを敢えて有線とした理由はなんでしょうか。

Webメディアには有線にすることでバッテリーの消耗が抑えられるとありましたが、無線化によって、そんなにも電力を消耗してしまうのでしょうか。有線のシマノ、完全無線のスラム、ハイブリッドのFSA……。機械式であれば、ケーブルの取り回しによって操作感に大きな違いも生まれるでしょう。しかし、フル内装ケーブルが増えつつある昨今、電動変速機であれば無線でも有線でも大きな差がないようにも思えます。

だとすれば、バッテリーの消耗が少ないのは無線か否かではなく、変速機を動かすモーターや変速機の構造に優位性があるのでしょうか。他社のシステムに言及しにくい立場は理解しておりますが、ジャーナリストでもない限り、作り手と話せる機会など早々はありません。具体的な数字を交えた説明があると、わたしもお客さまに説明がしやすくなります。

コントロールレバーにしても、2種類用意されたことは喜ぶべきことです。しかし、なぜ選ぶ時のガイドラインが示されていないのでしょうか? 今や洋服やフレームサイズも身体のサイズから、推奨サイズが提案されます。指の長短がレバーのサイズを決めるのか、ハンドルとの組み合わせによって変わるのか、どんなことに不便を感じている人にとってK-Force WEのレバーは福音となるのでしょう。

シーソーのように動く変速スイッチも然りです。人間工学に基づいて作られたのならば、それをていねいに説明すべきだと思うのです。とはいえ、わたしが今回、投げかけた質問の数は多すぎるように思います。また、返事がいただけることを期待しつつ、一度書き終えることとします。

K.T


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ポディウム公式アカウントです。ヨーロッパのロードバイクシーンがナニを考え、どのように問題に取り組んでいるのか……をお伝えします。http://www.podium.co.jp/

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