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次世代Timeの現在地 1

TimeのR&Dマネージャーのザビエル・ルサブシャールのインタビュー。

今回はnote版のプラネットポディウムで、もっともやりたかったコンテンツのひとつをお届けします。それは社内で埋もれていたメーカーの声や写真を、あなたにも聞いて、見てもらうことです。

Timeのことをよくご存じでない方もいると思うので、簡単に説明します。2016年、Timeはより安定した経営環境を実現するため、ウインタースポーツで有名なロシニョールグループに加入しました。

現在、Timeはフランス・イゼール県サン ジャン ド モワランにあるロシニョール本社の近くに移転しています。このオフィスで行なわれたR&Dマネージャーのザビエル・ルサブシャールとのミーティングの一部をお届けします。

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ーー
現在どんな開発を進めていますか?

ザビエル
あなたもそうでしょうけど、いくつかの仕事を並行しています。ここ1年くらいメインで取り組んでいるのは、開発プランですね。

ーー
開発そのものじゃなくて、開発プラン。

ザビエル
そうです。今後3年間で、どういったものを開発しないといけないか考え、プランを建てておくのです。もうひとつ平行して、より新しい技術やコンセプトを開発しています。

ーー
それは、どんなものですか。

ザビエル
たとえば、問題が起きたときの解決方法は2つあります。一つは新しいアプローチや技術で対応する、もう一つは、すでに持っている解決方法をさらに進化させる。この2つの作業が平行して行われています。

ーー
もうちょっと踏み込めますか

ザビエル
新製品に関して具体的な内容を話すのは無理です。けれど、間違いなく新モデルの開発をしています。我々の持てる技術をさらに進め、RTM(レジン・トランスファー・モールディング)を進化させ、パフォーマンスを落とすことなく、快適性を向上させるためにダンピング技術もさらに磨きをかけています。

ーー
2020年には……

ザビエル
まだ確定できないですけど。

ーー
おおっ

ザビエル
技術開発を進めているところなので、画期的なブレークスルーと呼べるようなレベルに達するかどうかは、まだ言えません。でも、遠くないタイミングで紹介できるものはあると思います。

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ーー
自動車メーカーは、早い段階からティーザー広告を展開しますが、Timeにも期待できますか

ザビエル
我々の技術というのは、自転車を作るうえで最高の技術だと信じてます。ただし、大きな可能性を秘めていると同時に、やるべきことが多いのも事実です。カーボンの使い方や樹脂のことを研究し、成形するためのワックスの設計もしないといけません。ですから、新モデルもまだ最終段階に達していないんです。小さなチームですから、一つひとつ詰めていくしかありません。自動車メーカーみたいに予定通りに進まないんです。

ーー
詳しくは言えないとしても、もうちょっと。

ザビエル
当然、アルプデュエズで獲得した技術はすべて投入します。ただ、それにプラスして違う技術を盛り込みます。

ーー
おぉ!

ザビエル
Timeはモデルごとの特徴の差異が小さいと言われますので、違いを際立たせた次世代モデルも面白いんじゃないかなと思います。ま、これは私の思いつきで、会社としての正式な回答ではないです。ところで、あなたはロードバイクを選ぶときに快適性について、重視しますか?

ーー
はい、と言いたいところですが、なにを基準にしたらいいか分かりにくいですよね。どう考えたらいいんでしょうか。

ザビエル
そうですよね。快適性とはなんだろう、この問題に我々にとっても同じです。ただ、その糸口として、快適を静的と動的の 2 種類に分けて考えています。

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ーー
快適性を分ける!?

ザビエル
静的というのは、ジオメトリを中心とした考えです。一方、動的というのは走行中に発生する振動に対して、どう対応するかという意味です。

ーー
Timeフィールの分析が進んでいる、と。

ザビエル
うーん、はっきりとお答えするのは難しいのですけど…………自分たちのイノベーションプランを2つの大学と共有し、協力してもらえる態勢を整えています。

ーー
大学なんですね。

ザビエル
ひとつはマルセイユ大学というフランスの南部にある大学で、もうひとつはフランスの東部にあるシャンパーニュ大学です。この2つの大学は振動に関する研究が非常に進んでいる大学です。

ーー
やはり、テーマは振動ですか。

ザビエル
先ほど、工場で振動試験を見ていただきましたよね。あの試験の結果、どの場所で、どのように振動がピークに達するのか分かり、振動とフレームについて理解が深くなりました。そして、解決策を研究しています。

ーー
試験は動的快適性ですよね。静的なものは。

ザビエル
静的快適性の代表的な例はジャン・マルク(前プロダクトマネージャー)が遺してくれたジオメトリです。Timeのオリジナルであり、非常に特徴のあるジオメトリとなっています。これは非常にうまく機能しているので、変える予定はありません。

ーー
Timeらしさの根源が見えてきましたか。

ザビエル
どのように説明するか、どのように解析すべきかというのは、やはり非常に難しいです。さらに多くの研究を積み重ねていく必要があると考えています。

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ーー
ところで、走行性能と走行感というのは、一緒だと思いますか

ザビエル
いいえ、それは2つの異なることです。走行性能が優れた自転車を作ることはできます。しかし、機械的に最高だとしても、それは走行感と必ずしも一致しません。

ーー
性能がよくても、Timeらしさが感じられないとNGだと仰ってました。

ザビエル
走行性能を上げるために、いろいろとやるべきことはあります。でも、得られるモノがあると同時に、走行感を失ってしまうこともあるんです。常に努力をしていますが、一気にすべてを解決するということは無理です。

ーー
二者択一ですか。

ザビエル
そう捉えているメーカーもあるみたいです。でも、我々は以前のチームが築いてくれた“Timeらしさ”を失わず、それを改良するための作業を繰り返しています。レーシングパフォーマンスを犠牲にせず、快適性も向上させる。我々にとって両者は二者択一という問題じゃないんですね。

ーー
快適性だけなら、なんとかなる。

ザビエル
詳しい話はできないのですが、ひとつ言えるのは、エラストマーによる快適性改善はしません。ベンチで試験すると、エラストマーを使っているバイクは、振動がよりひどくなってしまうことがある。ですから、そういう手法はとらないです。

ーー
自動車メーカーの開発の人が走行感について、「振動と、その連続する剛性から構成されている」という言い方をしていたのですが。そういう解釈でいいですか?

ザビエル
その考え方は大賛成です。アクティブフォークで我々がやろうとしていることは、クラシックフォークと同じスタイルを保ちながら、振動を30%減らすことです。同時に200g重くなってしまうんですけど、それでも十分に価値はあると考えています。

つづく

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ポディウム公式アカウントです。ヨーロッパのロードバイクシーンがナニを考え、どのように問題に取り組んでいるのか……をお伝えします。http://www.podium.co.jp/