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Lightweightが紡いでいくもの

“究極の回転体”として絶大なる人気を誇るドイツの超高級ホイールメーカーLightweight。2003年、創業者ハインツ・オーバーマイヤーから経営を引き継ぎ、今日まで育て上げたのがウィスラーグループのエルハルト・ウィスラーです。今回は彼のショートインタビューをお届けします。


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エルハルト・ウィスラー
WISSLER GROUPの創業者。同グループは農業機械や建築、航空機、医療機器、通信衛星などの部門があり、Lightweightを買収したカーボンスポーツ社はスポーツ分野を担ってきた。現在、Lightweightはエルハルトの次男アンドレアが率いるCarbovation社の傘下にある。

――
Lightweight製品の記号性って、どういったものだと思いますか。

ウィスラー
どの製品も最高のパフォーマンスでユーザーに興奮と利益を与えることです。新製品の開発を進めるときに、

「ユーザーは何を得ることができる?」

と問いかけます。技術的にユニークだったとしても、提案者が即答できなければ、その商品は開発を止めます。我々の製品はとても高価ですから、ベネフィットを感じられないような商品は出すべきじゃないと考えてます。

――
クルマは年齢に関係なく、アクセルさえ踏めばすごいパワーが出て、機械的なパフォーマンスを感じられます。一方、自転車は誰もが同じように……とは言えない。

ウイスラー
その通りです。したがって、ユーザーに夢のような体験を与える特別な存在でなければなりません。簡単なことではありませんが、スペックやスタイリングだけでは、Lightweightの存在価値を保てないのです。

ーー
Lightweightユーザーの多くは、年齢的にパフォーマンスのピークを過ぎていると思いますが、そのへんはどう考えますか?

ウィスラー
我々の商品を買うことができるのは、社会的に成功した40代以上の人が多いです。ただ、アルプスを越えるレースなどで、若い人たちから数分遅れる程度の優秀なライダーが多いのも特徴です。

今後、選手として活躍するような若い人たちに買ってもらえれば、それはそれでありがたいですけど、若い人たちが簡単に買えるような価格で出すことには、まだ成功していません。

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――
廉価なモデルを近いうちに見ることができますか。

ウィスラー
まずは高級なカーボンホイールに注力しますが、RTM(レジン・トランスファー・モールディング)工法を採用したヴィグヴァイザーは、従来のラインナップと比較すると求めやすい価格を実現しました。このモデルはカーボンホイールの歴史に新しい1ページを刻めるはずです。

ーー
ヴィグヴァイザーはRTMを採用し、コストダウンを図ったモデルですよね。

ウィスラー
そうです。とはいえ、大量に販売するだけが目標ではありません。絶対的な数量も大切ですが、品質やユーザーの満足度こそがLightweightの価値を示す指標だと考えています。

――
ところで初歩的なことを伺いますけど、なぜLightweightのホイールは軽さと強度、剛性を高次元でバランスできているのでしょうか。

ウィスラー
端的に言えば、カーボンファイバーのジオメトリーが最適化されているから。そして、優れた素材を使用しているのも、理由の1つです。

カーボンは引張強度に優れた素材ですが、Lightweightのスポークは1.5トンで引っ張って、やっと破断する強さを誇ります。また、熟練した作業員によって、ホイール1本あたり16時間もかけて製作されています。

ーー
16時間! そんなにかかるんですか。

ウィスラー
優秀で熟練した職人で……です。本社工場のある地域はドイツの中でも、航空産業や自動車業界の優秀な人材が集まっています。Lightweightブランドでもっとも価値があるのは人材であり、製品は彼らの情熱と愛情の結晶です。
もし他のブランドが真似ようとしたら、さらに多くの時間が必要になると思います。

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ーー
Lightweightといえば、プロが自費でも購入するという逸話がありますが、あれは事実だったんですか?

ウィスラー
2003年にLightweightが我々のグループに参入した当時、驚くことに顧客の半数以上はプロ選手でした。現在は95%がアマチュアのサイクリストです。

プロ選手はチームにスポンサーがついているので、自由にホイールを選べません。それでも生産量の5%はプロが購入してくれているのは、誇れる数字だと思っています。

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ーー
2019年はチーム・イネオスが購入したのが話題になりましたね。

ウィスラー
大変、光栄なことでした。具体的な名前は明かせませんが、新しいシーズンもワールドツアーチームが我々の製品を使ってくれる予定です。

ーー
ユーザーがプロからアマチュアになり、求める性能に変化を感じますか?

ウィスラー
安全性に対する要求は高まってきていると感じます。バイクの性能が向上することで、全体の走行速度が高くなり、正確なハンドリングや強力な制動力が必要になってきています。

――
ニーズという意味では、廉価モデルを期待する声も大きいと思いますが、そこに応える気持ちはありますか。

ウィスラー
廉価なだけの製品を作ることは簡単です。でも、求められているのは価格が安いだけの製品ではありません。

それは価格やコンセプト、走行性能や質感など、そのカテゴリーのベンチマークとなる製品です。

求めやすい価格というリクエストには応えられていませんが、継続して努力しています。

――
偉大な製品で鮮烈なデビューを飾ったメーカーは、往々にして、次なる主力モデルの開発で苦労します。同じ苦しみを感じませんか?

ウィスラー
いいえ、そうは思いません。
創業者のオーバーマイヤーさんがユーロバイクショーに来たときに、「私がスタートさせたプロダクトを、こんな高いレベルの製品に発展させてくれて、大変感謝しています」と仰ってくれました。
我々のホイールが進化の歩みを緩めたことはありませんし、さらなる可能性を秘めていると考えています。

ーー
でも、マイレンシュタインは大きな進歩を遂げていないようにも見えます。

ウィスラー
最新モデルはオリジナルのシルエットを失うことなく、伝統的な美徳を守るようにデザインされています。このような進化を遂げさせるには2つの要素が必要です。

まずはベースとなるモデルが独創的で大きな潜在能力を秘めていること、もう1つは好奇心に溢れ、緻密で高度なエンジニアリングが継続的に投入されることです。

外見は大きく変わっていないように思われるかもしれませんが、隣に並べれば時間の流れが分かります。またリム断面を見れば、技術的進化の大きさに驚いてもらえるでしょう。

――
ディスクブレーキやワイドリム、チューブレスタイヤといったトレンドに対して保守的だったのは、どんな理由があったのですか。

ウィスラー
Lightweightのユーザーは優れたライディングテクニックを持った人が多く、ディスクブレーキに対する要求が低かったのです。
最新のラインナップでも25%の人はリムブレーキ&ナローリムのホイールを求めており、依然として人気があります。

ただ、多くの人たちはより安全性が高く、高性能なホイールを求めており、リクエストに応えていく必要性を強く感じています。

ーー
それは楽しみです。

ウィスラー
間もなくチューブレス対応のモデルも出荷が始まります。これらの製品は最新タイヤのパフォーマンスを限界まで引き出し、正確なハンドリングと魅力的な制動力を実現します。

Lightweightのサイクリングはエモーショナルで、ピュアな体験です。最新のラインナップは、それを証明しています。楽しみにしていて下さい。

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ポディウム公式アカウントです。ヨーロッパのロードバイクシーンがナニを考え、どのように問題に取り組んでいるのか……をお伝えします。http://www.podium.co.jp/

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